何度目の夏ジブリ【レビュー/感想/まとめ】
四季を感じるアニメはジブリしかない
日本の四季
何度地上波で放送されても人気は落ちることを知らない。
日本の年中行事といっても過言ではありませんね。
「春はジブリ」、「夏もジブリ」、「秋だってジブリ」、「冬こそジブリ」
決まり文句は数知れずです。
近年は気候の変動で春と秋があっという間に過ぎてしまうように感じますが、テレビでやるジブリを見て、一年の移り変わりを感じてしまうほどですかね、たぶん。
定番の夏ジブリ
現在22作品の劇場長編アニメが公開されていて、その中でも夏を感じさせる作品はダントツで多い。(独断と偏見です)
視聴者目線で言えば、子供の頃夏休みに毎週のように金曜ロードショーで放送していて、夏とジブリを連想しやすいというのもある。
しかし、製作者目線で考えると必然なのかもしれない。
宮崎駿の飛行機への探求
有名な話で、「スタジオジブリ」の名称は、サハラ砂漠に吹く熱風(ghibli)に由来しており、第二次世界大戦中のイタリア・カプローニ社の偵察/爆撃機の名前でもあります。
「紅の豚」や「風立ちぬ」はまさに戦闘機が主役の作品ですしね。
その他の作品にもキャラクターが空を飛ぶシーンが随所に見られます。ほぼ飛んでます。となると、必然的に空の背景が目に留まるわけです。
四季の中で最も空を意識するのは、「夏」です。
青い空に、雲。入道雲を見たときに誰しもが、「龍の巣だ…」とつぶやいたことでしょう。
夏におすすめのジブリ作品①
ここまでくると、どの作品でもおすすめなんですけどね(笑)
個人的におすすめなのが、「借りぐらしのアリエッティ」ですね。
公開:2010年7月17日
監督:米林宏昌
主題歌:セシル・コルベル
「Arrietty's Song」
『人間に見られてはいけない』
とある古い大きな屋敷の床下に、アリエッティは家族3人と暮らしていました。
掟は一つ、「人間に見られてはいけない。見つかったなら、引っ越さないといけない」
そんな世界で、床下の小人たちは人間の生活品を「借り」ながら過ごしていました。
そんななか、その屋敷に1人の少年がやってくる。
療養のために静かな屋敷へと来た少年と、好奇心旺盛のアリエッティ。
決して見られてはいけないのに、次第に少年と距離を縮めていく。
しかし、理解しあえない世界には事件はつきものです。
人間と小人。異なる世界、異なる種族が理解しあうために…
日常にあるおとぎ話
映像の綺麗さもさることながら、この世界観にハマりましたね。
特に、アリエッティと父親が角砂糖を「借り」に行くシーンは、もしかしたら現実の世界の裏側(床下)では、本当にあるのではないかと思わされます。
現実の中にすこし変わった要素がつけ足されると、身の回りととてもリンクして、感情移入しやすいですね。
最近ですと、細田守作品なんかに多くみられるかもしれませんね。
加えてこの作品がいいのは、ケルト音楽を感じさせれる主題歌です。
映画の舞台は日本ですが、この主題歌を聞くと現実と非現実感が際立ち、物語をより楽しめると思います。
夏におすすめのジブリ作品②
隠れた名作、「海がきこえる」
エモい。圧倒的エモい。
公開:1993年12月25日
監督:望月智充
主題歌:坂本洋子
「海になれたら」
『高知・夏・17歳 僕と里伽子のプロローグ』
主人公の杜崎拓は、地元の高知から東京の大学に進学しています。
夏休みに高校の同窓会で地元へ帰るために駅に向かいますが、そこで高校の同級生の武藤里伽子によく似た女性を見かけるシーンから物語が始まります。
当時、転校生として東京から転校してきた里伽子は、才色兼備で一目置かれていました。しかし、人付き合いが苦手なため孤立していました。都会からの転校生あるあるですよね。
その里伽子に振り回されながら、修学旅行先のハワイで貸した6万円を元手に、東京まで行くことになってしまいます。
東京で父親に会い、別の女性と暮らす父親にショックを受け、宿泊先のホテルで里伽子はコークハイを飲みながら愚痴を垂れます。そのまま里伽子はベッドで寝てしまい、拓はバスタブで寝ます。ここが今なら完全アウトですけど、最高に時代を感じるシーンですね。
その散々な東京旅行から帰ってきた二人は、学校で噂になってしまいます。
そんな中、拓の親友である松野が里伽子に告白をしたと聞かされます。
結果は「高知の男も高知弁で喋る男も大っ嫌い」
その後、文化祭の準備中にクラスの女子に囲まれる里伽子を見つけた拓は、そのまま何もせず、おまけに里伽子に泣きながらビンタを食らいます。
そのことを松野に聞かれ、そっけない態度をとる拓を蹴飛ばし、「お前は馬鹿だ」と言い、松野は去ります。
ここまで拓は散々な仕打ちですよね。でも改めてみると、里伽子と松野の気持ちがわかってきて、何やってんだ、拓!ってなりました(笑)
同窓会のために高知に帰ってきた場面に切り替わり、松野が空港に迎えに来ています。
海を見ながら、当時のことを話しながら和解するシーンはエモさ爆発です。
その同窓会には里伽子の姿はありませんでした。
しかし、当時孤立していた里伽子の友達の小浜から、同窓会の前日に会っていたと聞きます。どうやら、東京に会いたい人がいるらしく、その人はお風呂で寝る人なんだと。
ここで伏線が回収されましたね(笑)
東京に戻ってきた拓は、またしても駅で里伽子に似た女性を見かけます。
急いで向かうと、そこにはまぎれもない里伽子の姿が。
ここで里伽子のことが好きなんだと実感し、心が通い合った二人が再会するシーンで、物語は幕を閉じます。
一度は経験してみたかった青春がそこにはある
この作品は、製作陣に新人スタッフを起用し、スタジオジブリ作品の中で唯一、劇場作品としてではなく、テレビ放映向けに作られたスペシャルアニメです。
そして、ジブリのイメージからかけ離れたリアルな青春を描いた内容であり、劇場作品でもなく、テレビ再放送もほとんどされないにも関わらず、(未成年の飲酒シーンがあるため)今でも根強いファンの支持を受けています。
主人公たちが、高校生から大学生にかけての物語というのも相まって、若者ゆえの過ちや輝きが丁寧に描かれています。
そして、時代を感じさせる音楽。
近頃流行りのCity Popにど真ん中で、今から聞き始めてもさらに楽しめます。
日常に寄り添う作品たち
ジブリ作品は、老若男女が共有できる数少ないコンテンツだと思います。
それゆえに、見る年代によって見方が変わってきたりするのが醍醐味なのかもしれません。何度もテレビ放映しているのに、毎回楽しめるのはそれが理由なんでしょうか。
さて、今年の夏ジブリはいったいどの作品が放送されるのでしょうか?
今から楽しみですね。
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