連休だね。雨の日はお家でアニメ。『おおかみこどもの雨と雪』【レビュー/感想】
子供と見てほしい
近年、大人が見ても面白いアニメが数多く出てきていますよね。
ただ、大人と子供が一緒に見て楽しめるのは正直なところ、往年の国民的アニメたちや、それこそジブリなどですよね。2000年代に入ってから現在までで、新たにその地位を脅かす存在はごく少数しか出てきていないと思っています。(偏見ですよ)
しかし、その牙城を崩す存在が現れようとしています。
母は強し
公開:2012年7月21日
原作:細田守
監督:細田守
主題歌:アン・サリー
「おかあさんの唄」
私が好きになったのは、”おおかみおとこ”でした。
大学生の「花」と、ある日大学の教室で出会った「彼」が恋に落ちるところから物語は始まる。
ただ、彼には秘密があった。”おおかみおとこ”だったのだ。
それでも彼を受け入れ、二人の間には新たな生命が生まれた。
雪が降る日に生まれた女の子『雪』と、雨が降る日に生まれた男の子『雨』。
元気いっぱいの姉の雪と、臆病な弟の雨は”おおかみこども”であった。
しかしそんな幸せは、雨が降る日に突然奪われてしまう。
彼が、子供たちのためにおおかみの姿で狩りをしていたが(考察です)、不慮の事故によって亡くなってしまった。
彼を失った花は、悲しみに打ちひしがれるが、子供たちを育てる覚悟をする。
だが、そんなに現実は甘くなかった。ただでさえシングルマザーで苦しい生活を強いられているのに、子供たちの秘密を隠しながら生活しなければならない。
隣人から怒鳴られ、児童相談所から理解もされず、病院に行くことさえもままならない。都会での生活から、自由な環境を求め、田舎で生活することを決心した。
田舎で生活する場として選んだのは、古い大きな古民家。
家の修繕をし、わずかな貯えしかないので、畑で野菜を育ててみるが、なかなかうまくいかない。そんな時に出会ったのは、韮崎というおじいさんだった。その出会いから、村の人と交流が始まり、生活が順調になっていく。
雪と雨は学校に行き始める。
秘密を隠しながら、生活することに順応する姉の雪とは対照的に、学校に馴染めずに不登校になっていく雨は、森で「先生」と呼ぶおおかみと出会い、二人は衝突してしまう。人間として生きたい雪、おおかみとして自然に生きたい雨。
二人の”おおかみこども”に選択の時が来る。
そしてそれは、花にも選択の時が来ているのでもあった。
家族として、母として、一人の”おおかみこども”として選んだ道は、雪は人として、雨は狼として、そして花は母として生きることを選んだ。
それぞれが選んだ道を、しっかり生きていく家族の物語だ。
選択の雨
作品を見る上で、物語と同じく重要なのが天候の描写かと思います。
この作品は他の細田守作品と違い、短期間の話ではなく、十数年の間を描く作品で、田舎の雪原を滑り降りる象徴的なシーンがあります。
その中でも、雨が降るシーンは重要な場面に多く出てきます。
田舎で過ごすきっかけになった、彼が亡くなってしまうシーン。
雪が同級生の草平に、おおかみの姿と打ち明けるシーン。
雨が狼として生きていくと決めたシーン。
選択の場面で、雨が降るシーンが多く使われています。
ただ、子供たちが自分の生きる道を選択したシーンでの雨は、とても晴れやかで、気持ちが良いものと感じました。
特に、雨が狼として森に行くラストシーンは、実際に雨から晴れになるシーンで、花の「元気で…しっかり、生きて!」の言葉が際立つものになりました。
ここで涙腺が持っていかれます。
見る世代によって変わる目線
”おおかみこども”の二人を軸として見るか、親の花を軸として見るか。
公開当時は学生だったので、子供から親のすごさや感謝を感じてみていました。
実際に母親と見に行った際には、親が隣にいるにも関わらず号泣してしまいました(笑)
しかし、子供の独立を見守る親の気持ちで改めて大人になってから見ると、ラストシーンの一言がより深く感じます。(私は独身です)
極め付けは、エンディングです。
アン・サリーさんの「おかあさんの唄」はヤバいです(語彙力)
作品をギュッと詰め込ん歌詞、安心する声。ぜひ作品を見てから聴いてほしいです。
家族として生きていくには、別れがつきものです。
ただこの作品は前向きな別れだと思います。なので、見終わった時には、すっきりした気持ちでまた頑張ろうと思わされます。
余談ですが、キャラクターデザインを担当しているのは、エヴァンゲリオンでキャラクターデザインも担当している貞本義行さんです。余談です。
価格:4,863円 |