何度目の秋ジブリ【レビュー/感想/まとめ】
哀愁とワクワク
季節は秋になってきました。
近頃は体感的に夏が長くなってきてしまったので、秋を感じることが少なくなってきてしまったように感じます。
田舎にいると、紅葉やら肌寒い気温に秋を感じますが、都会にいると自然から感じることが難しくなって、食べ物やハロウィンといった催し物で季節を感じるようになってきている気がします。
メディアから季節を感じる、ということにおいて「スタジオジブリ」が大きな影響を及ぼしていると思いました。
大体この10月になると秋アニメクールが始まる時期になります。
ただこれらのアニメは決して季節感に沿った内容ではありません。
なかなか1クール12話のアニメになると、季節をまたいでしまうことがあるので季節感を出すのは難しいです。そういった面からみると、劇場アニメの重要性が分かりますね。
特にこの秋アニメは、春のようなキラキラ感はない、夏のようなはじける感もない、冬のようなイベント盛りだくさんという訳でもない、狭間のような期間。
しかし、時間がゆっくりと感じ始める季節でもあり、人の心に沁みる哀愁漂う雰囲気を醸し出す季節でもあります。それゆえ、秋を感じさせるアニメは、沁みる内容になっていると思います。
一人部屋でしっぽり見るのも悪くないです。
秋におすすめのジブリ作品①
公開:2004年11月20日
原作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著『魔法使いハウルと火の悪魔』
監督:宮崎駿
主題歌:倍賞千恵子「世界の約束」
『ふたりが暮らした。』
帽子屋で働く真面目な少女ソフィー。
真面目に平凡な生活を送っていた彼女の前に現れたのは、魔法使いのハウル。
荒地の魔女に追われているハウルは、ナンパに困っているソフィーを助け一緒に逃げることに。紳士的なハウルに心奪われたソフィー。
しかし、帽子屋にきた荒地の魔女に邪魔者とみなされ、90歳の老婆に姿を変えられてしまう。この姿ではここにいれない、と思ったソフィーは1人荒地へと歩いて行った。
道中、動くかかしのカブを助け、そのお礼にソフィーを奇怪な動く城へと案内した。
ハウルの動く城には、ハウルと火の悪魔カルシファー、ハウルの弟子マルクルがおり、清掃婦として働くソフィーの4人で忙しくもあたたかい日々を送る。
しかし、外の世界は戦争の最中であった。
国王に仕えるかつての師匠、魔法使いのマダム・サリマンから戦争に参加するように打診されているハウル。そこで思いついたのはハウルの代わりにソフィーがサリマンに会って断ってくるというものだった。
ハウルの代わりに宮廷に訪れたソフィーは、そこで荒地の魔女と再会する。
しかし、サリマンの罠によって荒地の魔女の魔力が奪われてしまい、ただのおばあちゃんになってしまう。
サリマンと会ったソフィーはハウルが戦争に参加させないように反抗するが、それでも引き下がらないサリマン。すると、そこに国王に化けたハウルがソフィーを迎えにきた。サリマンの強力な魔法に対抗しながら、なんとか宮廷を脱出し城へ戻ってきた。
ハウルはサリマンから逃れるために、城と帽子屋を行き来するようにし、引っ越すことに、ただのおばあちゃんとなった荒地の魔女も加えて。
だが、戦争は激しさを増していく。
ついに帽子屋のある街に空襲が来てしまった。
ハウルはソフィー達を守ろうと制止を振り切って戦火に身を投じることになってしまう。このまま街にいてはハウルは戦い続けると思ったソフィーは再度引っ越すことを決意する。自身の髪を代価にカルシファーに城を動かしてもらうことができた。しかし、カルシファーがハウルの心臓であることに気付いた荒地の魔女は、以前より欲していたものが目の前にあることを見てカルシファーを手に取ってしまう。そのことで火達磨になってしまった彼女を助けるために、カルシファーに水をかけてしまう。
魔力が弱まったことで、城は崩壊していく。残骸と共に外に放り出されてしまい、カルシファーに水をかけてしまったことによってハウルが死んでしまうと嘆いていたソフィー。
一緒に放り出された残骸の中にドアがあり、それは過去の世界へと通じていた。
子供時代のハウルがカルシファーと出会い、契約するところをみたソフィーは、「きっと行くから、未来で待ってて」と言い、その世界を後にする。
現代に戻ったソフィーは、化け物のような姿に成り果てたハウルが待っていた。
弱弱しくなったカルシファーを手に取り、ハウルに戻すと、魔法が解け、カルシファーは自由の身となった。ハウルにも精気が戻ったが、カルシファーの魔力で動いていた城は崩れていってしまう。転がり落ちるソフィー達を身を挺して守ったカブに、ソフィーがキスをすると、かかしから人間へと姿を変えた。実は、カブの正体は隣国の王子であり、愛する者にキスをされないと解けない魔法にかかっていたのだ。
人間に戻ることができた彼は、国に戻り戦争を終わらせるという。それを見ていたサリマンも、こんな馬鹿げた戦争を終わりにしようと決意する。
自由の身となったカルシファーもまたみんなと一緒にいたいと言い、新しくなった動く城でソフィーとハウル達は穏やかに暮らしていく。
ハッピーエンドに勝るものはない
ジブリにあまりない恋愛ものということ、ハウルがかっこいいことも相まってジブリ作品のなかで特に女性人気があるのかと思います。
主人公とヒロインが出てくるけど、恋愛として成就して終わるのは少ないです。
それゆえに、最後に若返ったソフィーとハウルがキスをするシーンで終わるというのは新鮮で温かい気持ちにさせてくれますね。
ジブリを語る上で考察やら都市伝説やらたくさんありますが、そんなことを考えずにどっぷり世界感にのめりこむことが一番この作品を楽しむことができる方法の一つだと思います。
何度見ても、カルシファーの火で焼くベーコンと目玉焼きは美味しそうです。
秋におすすめのジブリ作品②
公開:1995年7月15日
監督:近藤喜文
『好きなひとが、できました』
読書が好きな中学3年生の月島雫。
ある日、父親が務める図書館で借りた本の貸出カードに「天沢聖司」という名前が書かれていることに気付く。
まだあったことのない人に雫の想像は膨らんでいく。
夏休み、親友の夕子に自分が考えた「カントリー・ロード」の訳詞を見せた。
ありきたりでつまらないという雫に、悪くないよ、という夕子。
ふざけて書いた「コンクリート・ロード」という替え歌にはお互い笑い合うのであった。その後夕子から相談を受けたのだが、それは恋の悩みであった。
他のクラスの男子からラブレターをもらったが、どうしていいのかわからないという。
そんな最中、雫に突っかかって来る野球部の杉村に顔を赤くする夕子に、雫は察する。
夕子と雫が帰る途中で、借りてきた本を忘れてきてしまったことに気づき、さっきまで座っていたベンチへと戻ると、雫が借りた本を読む少年がいた。
彼は、「コンクリート・ロードはやめた方がいいよ。」と嫌みを言って本を返して去っていく。自分の歌詞を読まれたこととバカにされたことに雫は「やな奴!やな奴!」と憤慨しながら帰った。
別のある日、雫はまた図書館へと向かっていたのだが、電車に乗ってきた太った猫に出会う。興味本位でついていくと、丘の上のロータリーにある小さな雑貨屋「地球屋」にたどり着く。
恐る恐る入ってみると、アンティーク家具や古楽器があるお店だった。主人の西司朗にからくり時計や猫の人形に目を惹かれる。
そんな話を聞いていた雫は、本来の用事を思い出し急いでお店を後にする。そこにまたあの少年が自転車で雫が忘れていった父親のお弁当を届けにきた。
そこでも、お弁当の大きさに嫌みを言われ、イライラしながら図書館に向かう。
お弁当を渡し、本を読んでいると、その貸出カードにも「天沢聖司」という名前が書かれていた。
夏休みが終わり新学期が始まった学校で「天沢聖司」の情報をわずかに聞き出した。
その日の夜、夕子から突然電話がかかってくる。公園で待ち合わせると、そこには泣いている夕子がいた。以前もらっていたラブレターの返事の催促を杉村からしてきたためであった。
次の日、夕子はそのショックで学校を休んでしまう。雫は杉村を呼び出し、事の顛末を言って聞かした。だが、杉村は逆に雫の事が好きだと言ってきたのだった。困惑する雫は、友達としてしか見ていないと説明しその告白を断るのだった。
気分が落ち込んだ雫は、一旦帰宅するが「地球屋」へと向かう。
お店は閉まっていたが、そこにまたあの少年がいた。中へと案内される雫は、そこで今まで散々嫌みを言われていたこの少年が天沢聖司だと知りショックを受ける。
だがバイオリン職人を目指し、イタリア留学を考えている聖司の想いを聞き、彼に対する気持ちが変わっていく。
後日、学校で聖司にイタリア留学が決まったと聞かされる。進路が決まっていない雫は、焦りを感じ、「地球屋」の主人から猫の人形「バロン」を借り、以前よりやってみたかった物語を書くことに没頭する。その後、図書館で物語を書いている雫のもとを訪れた聖司にイタリアに行く日が決まったと言われ、次の日に彼はイタリアへと旅立った。
時が過ぎ、制服が夏服から冬服へと変わっていく季節になった。
書くことに没頭してしまい、それが原因で学校の成績が落ちていることを指摘され、両親から怒られてしまう。だが、雫の頑張りを見ていた父親は、難しい道だがやりたいようにやってみなさいと、背中を押す。
雫の処女作を最初に見せると約束した司朗に完成した物語を見せにいった。
「ありがとう、とてもよかった。」という司朗に、自分では納得いっていないという雫は今まで抑えていた感情が溢れて号泣してしまう。
落ち着いた後に、司朗はバロンの物語を雫に聞かせたのだが、それは雫の書いた物語に酷似しているものだった。
翌朝、目を覚ました雫が窓の外をのぞくと、そこには自転車に乗った聖司がいた。イタリアから一日早く帰ってきたようだ。
驚いた雫は、見せたいものがあるという聖司の自転車の後ろに乗り、街を見渡せる高台へと向かった。
高台でお互いの想いを言い、聖司は「バイオリン職人になったら結婚してくれないか」と告白し、雫は「嬉しい、そんな風になれたらいいなって思ってた」と返すと、舞い上がった聖司は「雫、好きだ!」といい強く抱きしめるのであった。
酸いも甘いも詰まった作品
再放送のたびに、「眩しすぎる!」「羨ましい…」と反響がある作品です。
いつの時代になっても学生の恋愛は美しく映るものですが、特にこの作品は、友達の好きな人がヒロインの事が好き、とか嫌な奴が気になっていた人で好きになるとか、ど定番で直球なのが見ていてすがすがしい気持ちになります。
そして主題歌が歌われるシーンで、「カントリー・ロード」を地球屋の工房でみんなで演奏するシーンも良いんですが、個人的にはオープニングのシーンがグッとくるんですよね。
ネオンの感じと夜の街の日常が最高にエモいです。
仕事終わりとかに流れてくると、無機質な風景も一気に変わって見えます。
まとめ
秋におすすめするジブリ作品を2作品紹介しました。
やはりいい作品はいつの時代も色あせないということが改めて感じさせられました。
今回は、恋愛作品というジブリでは珍しいジャンルでしたが、秋の夜長にしっぽりと見れるのではないでしょうか。
ジブリと言えば夏のイメージを持たれる方がいらっしゃると思いますが、秋でも冬でも春でも、ジブリは楽しませてくれます。
自宅で過ごすことが多くなってきている現代ですが、いつの世もジブリは独自の世界観で変わらずあなたを待っています。
↑夏におすすめのジブリ作品を紹介しています。ぜひご一読していただければ幸いです。
価格:4,653円 |
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