間違いなくこれからの京都アニメーションの代表作になる『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』【レビュー/感想】
作画の重要性
アニメも見る上で重要な点として、「作画」が挙げられるます。
どんなに脚本が良くても、目から入る情報としての作画がイマイチでは、せっかくの作品の魅力が引き出されません。
今まで内容は良くても、作画がイマイチという作品もありました。その逆も然りです。
しかし、ここは個人の趣向がありますので、完全に独断と偏見による意見だと思って見てください。
個人的には近頃のCGチックな作画よりも、少し線が残っているような作画のアニメが好きです。多少カクカクしても、動きに立体感が出る気がします。
加えて言うなら、アニメーション製作会社によっても色が出ます。
例えば、顔や目のアップのカットが特徴的な「シャフト」や、最近だと”鬼滅の刃”や”Fate”で有名な「ufotable」の繊細なアクションシーンがあります。
そんな数ある製作会社の中で、作画の安定性と微細さを誇るのが「京都アニメーション」です。
有名な作品は数知れず。そんな京アニですが、2019年に起きた痛ましい事件により大きな傷を負ってしまいました。
そんな最中にも製作中だった作品がありました。「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
世間ではもしかしたらこの事件と関連付けて話題になっているのかもしれませんが、間違いなくこれからの京都アニメーションを背負って立つ作品だと思います。
人形から一人の少女になるまで
放送:2018年1月~4月
話数:全13話
製作:京都アニメーション
ジャンル:ドラマ
想いを綴る、愛を知るために。
彼女は兵器であり、道具であった。
金色の髪、蒼い目をした可憐な少女は、感情と名前もなかった。
少年兵の前に現れたのは、ギルベルト・ブーゲンビリア少佐。彼女の上官である。
兄のディートフリートから押し付けられるように、彼女を自分の隊に入れるように言われたギルベルトは、彼女に花の名前を付けた。
「ヴァイオレット」花言葉は愛。
時代は大戦真っ只中。
自国の勝利のため、最終決戦へと赴くギルベルトの隊は、多数の犠牲を出しながらも作戦を成功させ、大戦終結へと歩を進めた。
しかし、敵の捨身の攻撃によりギルベルトとヴァイオレットは重傷を負ってしまう。
もう先がないと悟ったギルベルトはヴァイオレットに「愛してる」と言い残し、ヴァイオレットを敵の砲撃から庇い瓦礫の下敷きとなり、安否不明の未帰還兵扱いとなってしまった。
4年に渡る大戦が終結し、彼女は両腕を失ってしまった。
義手を付けることを余儀なくされたヴァイオレットは、ご見人の一人であるかつて陸軍中佐だった、クラウディア・ホッジンズが経営するC.H郵便社で働くことになった。
加えてご見人であるエヴァーガーデン家に入り姓を付けることで、ヴァイオレット・エヴァーガーデンという名前になった。
孤児であり戦争の事しか知らないヴァイオレットは、世間の常識についていけない。
しかし、最期に少佐から聞いた「愛してる」の意味を知るために、人の想いを紡ぐ自動手記人形として働くことを決心する。
ヴァイオレットには人の感情を言葉にすることができない。
その感情を持たずに育ってしまったからである。そのせいで、お客様からクレームをもらったり、養成学校では手紙の内容以外は優秀なのに落第してしまったり。
だが、その養成学校で出会ったルクリアという少女と関わり、酒浸りの兄に向けた手紙を代筆したことで僅からがら感情を感じることができた。そのおかげもあり、無事養成学校を卒業したヴァイオレットは、自動手記人形として仕事ができるようになったのだ。
代筆を依頼するお客様は様々。一国の王女、天文学者、戯曲家、子を持つ母親、兵士。
それぞれに想いを届けたい人がいる。その想いを紡ぐごとにヴァイオレットの心もまた変わっていくのである。
それとは裏腹に大戦が終結したのに、和平反対派が過激な行動に出る。
和平の調印式に赴く列車を襲撃するというものであった。中には郵便社の同僚やギルベルトの兄であり護衛の隊を率いるディートフリードも乗っている。
「もう、誰も死なせたくない」というヴァイオレットは銃を要する敵に苦戦を強いられるが、かつて自分を道具として扱ったディートフリートを庇いながら戦い、義手を犠牲にして騒動を鎮圧することができた。
これにより和平条約が無事調印され、平和が戻ったのである。
日常に戻った彼女たち。
世間は5年ぶりの航空祭で盛り上がっていた。
想いを伝えたい人、亡くなってしまった人に手紙を書いて大空から飛行でばらまくようだ。
ヴァイオレットは初めて自分の手紙を書くことにしたのだが、心が解らない。あるはずなのに、言葉にできない。ギリギリまで書いてみるように促され、少佐との思い出を思い出していく。
航空祭当日。郵便社の同僚やルクリアが集う中、様々な想いを乗せた手紙が空を舞う。
沢山の人の想いが空から降ってくる。ヴァイオレットもその一人である。
少佐へ向けた手紙の最後に、「また会えたら、こう伝えたいのです。私は、いま、愛してるも少しは解るのです。」と。
今日も彼女は誰かの想いを綴るためにお客様のもとへ。
お初にお目にかかります。
お客様がお望みなら、どこへでも駆けつけます。
自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです。
一話一話が映画のような完成度
冒頭で書いたように、作画がもはやテレビアニメではないです。
一話ごとにの完成度が高くて、息をのむような綺麗さです。
そして、ヴァイオレットと代筆を依頼する人という進行になることで、大筋はつながってはいますが、一話完結型のようにして見ることができます。
一話当たりおよそ25分ですが、大げさに言えば25分の映画を13回見ることができるという事です。
なので、人によって好きな回があると思います。
個人的には第10話の「愛する人はずっと見守っている」が涙腺崩壊です。(おすすめです。)
簡単なあらすじを言うと、余命幾ばくも無い母親が娘に対して、毎年娘の誕生日に手紙を出すようにと依頼されるというストーリーです。
この回でヴァイオレットは大切な人に去られて、残された側の気持ちを分かることができ、人前で涙を流すという感動的な回なのですが、個人的おすすめポイントは、娘のアンが母親の余命を知りながら接しているという事です。
屋敷に来るのは母親が亡くなってからのご見人や、ヴァイオレットが母親の手紙を代筆している時間ですら残された時間であると分かっているアンが健気で。
母親と娘がお互いを大事にしているが故にぶつかってしまいますが、届かなくていい手紙はないという言葉通り、母親の死後、誕生日に届く手紙によって悲しみながら強くなっていく娘のシーンに心打たれます。
これだけでなく、各話数にそれぞれのストーリーが凝縮されている「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のシリーズは2018年のテレビアニメから2019年公開の劇場版アニメ(外伝)に続いて、今年2020年公開の劇場版へと繋がります。 劇場版を見る前に、ぜひテレビアニメを見直してはいかかですか?
↑劇場版外伝の記事になります。ご一読していただければ幸いです。
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